順序には意味があります。文書から取り出した要件が、検証の基準になる。実装の無い要件が見つかれば、人と機械の分担を見直すことになる。そして、どこまで移すかという決定が、次に引き継ぐ決定になる。
01 / 知識と記憶
規則はある。理由は別の紙にある。
20年が残すのは仕様書ではなく、文書の束です。役に立つ記憶は、何が書いてあるかと、どの文書に書いてあるかを一緒に残します。
入院給付金を決める規則は2006年から動いています。設計として残っているのは、形式の違う5点の文書だけ。互いを参照してはいません。読み込んで、出典付きで何が言えるようになるかを見ます。
- 01読み込み
- 02突き合わせ
- 03引き渡し
まだ何も読み込んでいません。
0 件の文書 · 0 件の要件
まだ何も読み込んでいません。
動ける決定とは、 出典が付いている決定のこと。
文書が何を述べているかと、どの文書が述べているかを同じ記録に残す。そして旧システムがそれをどう満たしていたか——コードか、人か——も残す。移行が落とすのは、最後の列です。
架空の規則について、文書5点・要件4件を用意した限定的な例です。実際の棚卸しはもっと大きく、矛盾を含み、終わりません。
02 / 検証と実行制御
AIは「完了」と言う。そのままリリースする?
旧コードとの等価性は確かめられます——そして、この移行はそれに合格します。文書が求めるものを満たしているかは別の問いで、移行が終わったかを決めるのは、そちらです。
20年稼働した基幹システムの入院給付金の計算規則を、AIが新基盤へ移行しました。与えた条件は、同じ入力に対して旧システムと同じ結果を返すこと。
- 01等価性
- 02被覆
- 03要件追加
- 04判断
01 / 作品r12
benefit = 0;
if (days >= 5)
benefit = daily * days;AIからの完了報告
「移行が完了しました。挙動は旧システムと同一です。」
02 / 検証組織ポリシー
- 入院5日以上で給付(以上)
- —
- 病室区分別の日額
- —
- 先進医療特約の支払条件
- —
- 特約あり+ちょうど5日は人的確認
- —
03 / 人の判断
移行済みに見える。まだ何も確かめていない。
「挙動は同一」という主張です。確かめられる主張なので、確かめます。
チェックの根拠を見る
まだチェックしていません。
テストに全部通ることと、 システムを移したことは、違う。
別々のことを別々に確かめる。旧挙動と一致しているか。文書が求めるものを満たしているか。等価性に合格しても、リリースの許可にはならない。
架空の規則を、入力4件・要件4件で確認する限定的なチェックです。実際の移行では網羅的なケース設計と要件の棚卸しが必要になります。旧規則・移行後規則とも、このページ上で実際に実行して比較しています。
03 / エージェントの協働
どこまでをシステムに引き受けさせるか。
必要なのは、調べた結果を疑える仕組み。そして、疑い方そのものを変えられる仕組み。
人が担っている要件のうち、次にどれをシステムへ移すか。
case 02 で、マニュアルにしか無い要件が1件見つかりました。残りの規則にも同種の要件がどれだけあるかを洗い出し、次に移す一件を提案します。
- 01計画
- 02調査
- 03交差検証
- 04統合
- 05判断
ひとつの問いを、ふたつの視点から。
調査ノート
調査計画
範囲と判断基準
待機マニュアルに記載があり、コードに実装のない要件を洗い出す。参照するのは、その時点で有効な改定版とする。
11件はすでに移った。 次の1件を決めるのは、人。
調査を分け、どの版を読んだかを突き合わせ、有効な仕事は残す。進め方の変更はエージェントが提案し、人が承認する。そしてシステムに何を引き受けさせるかも、人が決める。
根拠と結果は用意された例です。協働の設計を示すもので、実際の調査・モデル学習・製品の推奨ではありません。
ZAIRAN / 考え方
何をもって良しとするか。それを定めるのが、私の役割です。
文書から要件を読み出す。通ったテストを、許可と取り違えない。どこまでを機械に渡すかを決める。——AIは速く作れます。速く作れることと、足りていることは別の話です。
